アレルギー性鼻炎のしくみ
症状(体の外から鼻の中に原因物質が入りそれに対し反応を起こす)
- くしゃみ・・・追いだそうとします
- 鼻水・・・・・洗い流そうとします
- 鼻づまり・・・入ってこないようにします
これらの症状は体の防衛反応です。防衛反応は誰にでもありますが、過剰なほど反応を起こしてしまうのがアレルギーです
治療方法
- 原因が体内に入って来ないようにする(第一にこれが大切です)
- 過剰防衛反応を止める(しかし単純に防衛反応を止めると感染症に対応できなくなります)
- 体内でアレルギーに関与するサイトカイン(ヒスタミンやロイコトリエンなど)の働きを抑える
- 炎症反応全体を抑える。
具体的には
- 抗ヒスタミン剤の内服・・・・くしゃみ・鼻水の症状の軽減
- 点鼻薬(局所ステロイド薬)・・・鼻粘膜の炎症症状が改善します
- 生活環境の改善・・・・・原因となる物質を出来る限り避ける
◎当院では一年を通じて毎日花粉観測を実施しています。花粉データは日本気象協会に提供しています。
花粉症と言えば「スギ花粉症」が代表的ですが、他にも様々な植物の花粉が原因となります。
イネ科の「かもがや」、秋には「ブタクサ」もアレルギー性鼻炎を起こすことがあります。
当院におけるスギ花粉データをグラフにしたものです
上図は、当院屋上での過去10年間の1平方センチ当たりのスギ花粉飛散状況です。昨年は予想以上にスギ花粉飛散の多い年になりました。
このため、今年の飛散は少なくなると考えられます。ただし、近年地球温暖化の影響で東北地方の気温も上がり、スギにとって生育環境がよくなっていますので、極端には少なくならず、中程度の飛散になると思います。
花粉飛散開始時期は、上図のグラフからも例年は3月上旬が当地の本格飛散が始まるのが判ります。
しかし今年はかなり温かいので飛散時期が早まると思います。過去の当院の観測で最も早かったのは、平成19年に2月18日から始まった記録があります。
よって2月中旬には要注意時期になると思われ、早めの対策をお願いいたします。
勧められる来院時期は、2月に入り、微量の花粉が飛び始める頃、眼が少し痒くなり、鼻水が出るようになったら受診をお願いいたします。
症状が強くなる前に治療を開始するのが、以後の悪化を防ぐ一つの要因になっています。
スギ花粉症の治療
内服薬・点鼻薬などの対症療法に加えて、アレルゲン免疫療法を行っています。減感作療法とも言います。 舌下免疫療法です。
♣ハガキによるお知らせのご案内
◎スギ花粉は本格的な飛散前に、ハガキにてご希望の患者様にお知らせするサービスを行っております
早期に服薬を開始すると症状を軽減できます
◆新しい治療法のご案内
◎スギ花粉症の「アレルゲン免疫療法」を導入しました。
「舌下免疫療法」とも呼ばれ、痛みを伴わない新しい治療法です。
詳しい説明のあと、希望された患者様に行います。
なお、花粉の飛散時期には行うことができませんので
夏から冬の間の開始をおすすめします。
舌下免疫療法とは「減感作療法」とも呼ばれ、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を緩和する治療法です。
アレルゲンを含む治療薬を舌の下に滴下し2分間保持することで体内に取り込みます。
現在、スギ花粉症のみが行われています(薬剤名:シダトレン)
★シダトレンの長所と短所
長所
- スギ花粉症の症状を軽減する可能性があります
- 舌の下に薬剤を含むので痛みがありません
- スギ花粉飛散時の薬を減らすことができます
- 定期的な通院以外は自宅で行うことができます
短所
- 治療の期間は長期になります(3~5年)
- 毎日服用が必要です(一年中)
- 極めて低いがアナフィラキシーショックを起こす可能性があります
- スギ花粉症以外には効果がありません
★期待できる効果の割合
2年間シダトレンで治療した結果の報告によりますと
- 約2割の人でほとんど症状がなくなりました。
- 約6割の人で症状が軽くなりました。
- 約2割の人には効果がありませんでした。
※尚、数年後に効果が落ちてくる可能性があります。